2004年以来、毎年秋に12年間続けて来た京都・清水寺舞台のコンサートは、今年から数年間お休みに入ることになりました。
理由は、「清水寺・平成の大改修」。
7年前から徐々に進んで来た改修工事がいよいよ今年から本堂に移り、舞台が使用できなくなるからです。
先月清水寺を訪れた時は、舞台はすでに仮説の素屋根に覆われていて、外からは舞台そのものが見えないようになっていました。素屋根を支える柱の横を通りながら舞台に行くことはできますが、普段見慣れている清水寺舞台の全体像を見ることはできません。
工事は2020年か2021年に終了する予定だそうです。
そんなわけで、清水寺舞台コンサートは今年から3年か4年ほどお休みになります。
清水寺舞台でピアノの演奏をしたくて直談判に近い形で清水寺を訪れて大西執事長にお願いにあがったのが13年前。当時清水寺ではコンサートはほとんど許可していませんでした。
「古い清水寺が樹齢何百年という木々で支えられ今も生きているのは、祈りにくる人の思いが木に宿るから。良い音楽であれば、その音もまた木に宿るのではないか。一回だけなら誰でもできる。二回、三回も頑張ればできる。でも十回続けることは容易ではない。しかし、京都は百年続いて、本物と言う。もしコンサートをするのなら、100回続ける覚悟でやりなさい。」
そう執事長に言われた言葉が今も心に響きます。あと88回。人生をかけて続けて行きたいと心に決めています。
12年間の舞台で、同じ音を聞いた年は一度もありませんでした。ある年は雨が降り、雷がなり、満天の星空が広がり、満月が輝く夜もありました。虫や獣が鳴き、修行僧の唱えるお経が谷間から聞こえてくることもありました。
舞台と自然が一つのハーモニーとなって響く日本でもっとも美しい舞台。12回の経験を通して、どれだけ多くの事を舞台から教わったことでしょうか。
日本人の音の聞き方、あるがままの自然を受け入れて調和を大切に生きる感性・・・今の私の音楽の根源は清水寺舞台にあると言っても過言ではありません。
12年という一つの巡りが一周したという事でしょうか。時計も12まで。月も12ヶ月。フラメンコのコンパスも12拍で一周。
ここで一つ、今までを振り返り初心に戻って、新たに始まる巡りを待とうと思います。
今まで、清水寺舞台コンサートにお越し下さった皆様。支えてくださった多くの方々、本当にありがとうございました。
数年後、また舞台でお会いしましょう。
開催日程が決定したらまたホームページやFBなどでお知らせします。