2年半前、キューバに演奏会に行ってスペインへ戻って1ヶ月だけ日本に仕事で行って、その帰りに南米コロンビアにレコーディングと演奏会に行こうとしていた旅の途中の日本でコロナの扉が開いて日本の国境の扉が閉じた。
それから2年半の時が日本で流れた。色んなことを始めてみたり諦めたり、希望に燃えたり失望に沈んだりと、体がじっとしたまま心が色んな次元へと飛び回り続けた2年半でもあった。予想もしていなかった友達があの世へ旅立った。大切な人が病に倒れた。もっともっと話を聞きたかった。
そして予想もしていなかった深い出逢いもあった。
もう、あまりにも色んなことがありすぎて今日のひとことを書くことすら思い至らない自分だった。
きっと世界中の多くの人が同じ感じだったのではないか、と思う。
・・けど、今自分は2年半ぶりにここスペインのサンチャゴ・デ・コンポステーラに戻ってくることができた。
毎朝、朝日を見るたびに、大聖堂の鐘や鳥の鳴き声、樹々のざわめきの美しい響きに自分が消えてなくなってしまいそうなほど私の体も音になっている。
長い時の沈黙の中に、音になる前の振動があるという予感がある。まだその音はピアノの鍵盤まで到達しない。