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中部経済新聞連載「マイウェイ」第1回

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まさに音楽は「超言語」

地球中の美しい音を追い求めて
無我夢中で日々を過ごしていた中で、ふと気がついたら初めて鍵盤を触った日から今年で半世紀を迎えていた。今から3年前、コロナ感染症が急に広がり、あらゆる音楽活動が停止した。暮らしていたスペインにも帰ることができなくなっていた。
これまで多くの国々を旅してきた。南米や中米、アフリカ、アジア、南太平洋の島国、欧州など累計で60カ国ほどに足を運んだ。
それは、自然音や民族音楽、宗教音楽など美しい音が鳴っている場所、コンサートホールや野外劇場、教会、神社など自分の音楽を聞いて下さる方々が待っている舞台を訪れてきたからだ。さらに、音楽を通して出会った友人や共に音楽を演奏する仲間とリハーサルや練習をするために、自然と多くの国に訪れることになっていた。
今になって、自分がたどった軌跡を振り返ってみると、なんて多くの国々を旅して、そこに暮らす人々と直接音楽を通して共演して、数えきれないほどの素敵な出会いと気付きを得た豊かな道だったのだろうと思わずにはいられない。
アンデス山脈やアマゾン川流域、アフリカの砂漠などにも訪れた。いずれも電波も電気もないような地域だ。そこに暮らす先住民と直接音楽を通して共演して、お互いが奏でる響きの中に共通する音を発見し、つながることができたと感じてきた。
まさに、音楽とは国境も価値観も、時には時空さえも超えて、つながり結合できる「超言語」なのだと身をもって感じている。
ピアノの鍵盤は、私にとってまるで人生の旅路の線路のようだ。この鍵盤をたどって行く先々で、出会った出来事をスケッチブックに描きためてきた。このスケッチブックの冊数は、いつのまにか100冊を超えていた。
今回、マイウェイを執筆する機会をいただいた。これまでの旅の記録の一部を文字にしてまとめてみた。2カ月間の連載を通して、皆さまとご一緒に、美しくかけがえのない地球の響きに耳をすます旅に出かけることができればとても幸せに思う。
<プロフィル>かわかみ・みね ピアニスト・作曲家。長久手市に生まれ、3歳でピアノを始める。愛知県立明和高校、ミュンヘン国立音楽大学、マドリッド国立音楽大学院卒業。世界各地に拠点を置き、現在は京都とサンティアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)で暮らしながら、旅に出て音をスケッチする。無ジャンルの音楽を作曲して奏でる。コルドバのメスキータ、サンティアゴ大聖堂など多くの世界遺産で演奏、国内では京都の清水寺、春日大社でもソロコンサートを行っている。2005年の愛・地球博「モリゾーとキッコロ」のテーマソングなど数多くのサウンドトラック、音楽制作を担当した。

  • 2023年03月01日(水)18時52分
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