今日のひとこと
キューバで暮らした時に学んだ「物は持たない人生」をモットーにしてきた筈だったのに、こんなに自分は物を持っていたのかと反省した引越でした。
始めてスペインにやってきた日、唯一の持ち物のハンドバックを盗まれて、残ったのは我身一つとハンカチ一枚だったあの時から15年。持ち物は気づかぬ内にこんなに増えてしまうものなのですね・・。
それにしても疲れました。
頑張りすぎたせいか、4日前からギックリ首になり、体はまるでロボコン。激暑のお陰で顔も腕も真っ黒・・・。
でも何とかグランドピアノも無事に到着したので、来週からは作曲再開に入れるよう養生したいと思います・・。
「二度と引越はヤダ」と誰もが引越後に言う言葉、私も同感です・・・。
引っ越したのはマドリッドから車で25分の郊外の山村です。近所の山に登るとマドリッド市が遠くに見えてとても綺麗な所です。
山の頂上にあるヒュッテに美味しい自家製スープを出してくれるバルがあって、そのスープを飲みながら景色を見るのが大好きです。
今月、マドリッドに引っ越すことになりました。
よりにもよって人も鳥も寄りつかない灼熱の8月のコルドバで引越をする事になり、ブログも更新できないありさまです(と、引越のせいにするのだった)。
ただ今午後4時過ぎで気温は48度。外は深夜以上に静かで、道には車は一台も走っておらず、人っ子一人いません。
お金のあるコルドバ人はマラガなどの海や涼しい外国へバカンスに出かけ、不景気に直撃されている貧しい人々はガスパッチョを一杯飲んで窓をしめて昼寝をしている時間です。
そしてその静まりかえった白昼の街で私はせっせと荷造りに励むのでした・・・。
この気温で引越をするにあたって、「長所」を探してみることにしました。
家ごと水洗いして、壁から窓から水ブチマケ掃除をしてビショヌレ状態でも窓を開けて1時間もするとカラカラに乾燥してキレイになります。
お布団もソファーも丸ごと水洗いして、テラスに置いておくとバリバリに乾きます。
愛犬ワサもシャンプーして放っておくと10分で乾燥犬になります。
ひたすら乾くというのは、掃除にはなかなか悪くないものです。
本当に暑いです。
今日のコルドバの最高気温は49度。どう考えても暑すぎます。
何を思ってこんな暑い場所に2000年も前、都を建てようなんてローマ人は思ったのでしょう。
ヒートアップした体を冷やす方法がいくつかあるのですが、その中でもスゴイ威力を発揮するのがガスパッチョ、いわゆる冷たいトマトスープです。
完熟したトマトの甘みとお酢の爽やかな酸っぱさが体内に貯まった熱を吹き飛ばすスゴさがあります。美味しいから飲むというよりは、全身が必要としている栄養ドリンクと言う感じです。
コルドバには赤・白のガスパチョがあって、この時期ならほとんどのバルで「飲物」として置いています。
普通なら「ワイン一杯!」と声をかけるおじちゃん達もまず最初にガスパッチョをグーッと駆けつけ一杯飲んでサッパリしてから、酒呑みに入ったりしています。
さてこの「赤」「白」ガスパッチョ。
コロンブスが南米からトマトの種を持ってくる前まではヨーロッパにはトマトが無かったため、その時代までのガスパッチョはアーモンドやソラマメで作ったので「白」。それ以降はトマトが入って「赤」になったわけです。
作り方は簡単。
赤ガスパッチョは
①完熟トマト
②きゅうり(ピーマン、玉ねぎもOK)
③ニンニク
④酢
⑤オリーブオイル
⑥水
⑦塩
白ガスパッチョは
①ソラマメ(乾燥ソラマメを一晩水に浸したもの)あるいは生アーモンド
②生卵
③オリーブオイル
④酢
⑤にんにく
⑥水
⑦塩
を入れてミキサーにかけるだけ。家庭によって異なる調合の違いを味わうのも楽しみです。冷たく冷やして、凍ったグラスについで飲むのがポイントです。
今年も秋の清水寺舞台でピアノコンサートをすることになりました。
昨日から受け付けが始まりましたが、全国の皆さんから沢山のご応募を頂き感謝・感激しています。
日本ではほとんど演奏会をしていないので、私にとっても皆さんに直接お会いできる貴重な日として心から楽しみにしています。
申込をして頂いた方には一週間以内には必ずお返事をお送りしていますので、まだ返事が届かない方も、もう少しだけお待ちいただけますでしょうか。
今年の清水寺舞台。夕日から星空に変わる空はどんな色で、どんな風が吹き、虫達がどんな音楽を奏でてピアノと共演してくれるのか、楽しみです。
皆さんのお申し込みをお待ちしています!
どう言う訳か、愛犬ワサはシャンプーは大嫌いなのに、自分が薄汚くなると自らバスタブに入って行きます。
それも、何も言わずにそ~っと入ってジッと家族が気付くまで無言でひたすら待っているので、時々私もしばらく気づかないほどです。
あれ?ワサがいない?と思って探すと、バスタブの中で一人ガックリと肩と耳とシッポを落として待っているのです。
ワンコの気持ちって、人間が思うよりも繊細にできているのかな・・・。
灼熱のフライパンの上にいるような気温48度のコルドバから北へ向かってポルトガルを縦断して2時間。同じ国の同じ季節かと思うほど爽やかな風が吹き、緑と湿気で一杯のガリシア地方、サンティアゴ・デ・コンポステラに到着しました。
昨年、このガリシア地方にある「巡礼の道」上で野外コンサートツアーをして以来、私もすっかりガリシアにハマってしまい2,3カ月に一度は仕事を無理やり作ってガリシアに行くようになりました。
なぜガリシアに惚れるのか・・。なかなか上手に説明できないのですが、一言で言うと「人と大地」です。漁師と農民が多いからか、性格も日本人そっくりです。道を尋ねたりすると、目的地まで一緒に来てくれちゃうような人ばかりです。
それから、食事が話にならないほど美味しいのです。市場に行くと、タコですらニョロニョロ生きているほど新鮮で、エビもカニも脱走しないようにビニール袋に入れるのが大変なほど。野菜の種類もアンダルシアのコルドバの市場の3倍ほどの種類があります。
実は今、ガリシア公営放送で自然を通してガリシアと日本を繋ぐ番組を作る計画が進んでいて、その打ち合わせをしに今回は行ってきました。まだまだ企画段階なのですが、今年中に皆さんに素敵な番組として見ていただけるよう、頑張りたいと思っています。色々具体的に決まってきたらまたお知らせします。
この写真。何だかわかりますか?
川と湖です。
セビリアからサンティアゴに向かう途中、機内から見えた風景です。スペインとポルトガルの国境地帯にあるグアディアナ河です。まるで生き物のような、葉脈のような血管のような、根っこのようで、あるいは寒い日の朝、窓に広がる氷の花のようでもあって・・・地球上の世界は、色んなサイズで色んな場所に同じ模様ができるんだな~と不思議な気持ちになりました。
今日から一週間、北スペインのガリシア地方に行くことになりました。
ガリシア国営放送で、日本とスペインの間にある偶然とは思えない不思議な繋がりを紹介する番組を作る計画です。
ガリシアから戻ったらまた報告します!
家の向いにペットショップがあります。
ブランカは27歳の若いオーナーです。
我愛犬ワサも事あるごとにお世話になり、不在にする時はブランカが代わりに散歩に行ってくれるほどです。
私も、新しいペットがやって来る度に見せてもらうのが楽しみで、毎日のようにブランカのお店まで遊びに行ってしまいます。
写真は最近やってきたチビ君です。
その名も「ホセ」です。
先々週、京都・大原に暮らすベニシアさんと久しぶりに夕食をしました。
今ベニシアさんはたくさんのハーブの絵を描いているところで、何枚か素敵な絵を見せてもらいました。
彼女はやっぱり不思議な力を持った人だな、と思います。彼女が描く絵さえ、そこにミツバチや蝶が寄っていきそうな香りを感じるのです。
しばらく二人で絵を見たり庭を見たりしてすごした後、ご主人の正さんが撮影で海外に行っていることもあって、たまには女同士で飲みに行こう!と言うことになりました。
大原で取れた有機野菜を使ったお料理を出してくれるお店に行ったのですが、そこで白ワインを飲みながら採れたてのトマト、焼きたての黒パン、清流で取れた岩魚のお刺身・・・と、おいしい楽しいひと時でした。
京都市では茹だるような暑さでも、大原まで来るとひんやりとした山と川の心地よい風が吹いていました。驚いたのは蛍の数。
日が暮れた川端を散歩すると、あっちにもこっちにも蛍が飛んでいて、それは美しい夏の夜の風景でした。
写真はベニシアさんが使っていた色鉛筆です。
とうとう一度も日記を更新できないまま、昨日スペインに戻ってきました。
今回は1ヶ月近く日本に戻るので余裕!と思っていたのですが、半年振りに京都に戻ってみると毎日息をつく間もなく時が過ぎて行き、1ヶ月の間に東京8回、名古屋2回、その他徳島、東北などなどと移動ばかりで嵐のような一ヶ月でした。
そして最後はとうとうダウンして朦朧としつつ飛行機に乗り昨日コルドバに辿り着いた・・という状態です。
色々なことがあった一ヶ月でした。
私が子供のときから親のように可愛がってくれた「ヤコおばちゃん」とのお別れという悲しい出来事もありました。
そして、気仙沼をはじめ陸前高田、大船渡へも行ってきました。本当に多くの方に出逢い、多くの思いにも出逢いました。
時差ボケの疲れなのか、あまりにもいっぺんにたくさんの事があったからなのか、まだ心の中がグルグル回っていて上手に言葉で表現ができないでいます。
1ヶ月ぶりに戻ってきたコルドバはいつもと変わらない雲ひとつない青空が広がっています。
やっと日本に帰れることになりました。
明日の朝発って、乗り継ぎ地のミュンヘンで乗り継ぎついでに大学の時の友達と宴会して、日曜日には日本に着く予定です。
今回、日本では大きなコンサートはありませんがラジオなどには出演する予定です。またホームページでお知らせします。
次のダイアリーは日本から書きます~!
それにしてもアリというのは凄い生き物だと思います。
愛犬ワサをグアダルキビル川沿いに散歩に連れて行く途中、いくつものアリの行列を見る季節になりました。
大中小さまざまなサイズのアリたちがセッセと餌を運ぶ姿を見ていると時も忘れて座り込んでしまい、ワサに後ろから先へ行こうよ!と吠えられる始末です。
今日遭遇したアリたちは小さな白い野の花を運んでいました。
一匹一匹役割が決まっていて、その動作やアリ同士の関係も私達人間模様とそっくり。
でも少し離れた所から見ると、花より小さいアリたちは姿が見えずに、まるで白い花が行列を作ってユラユラと歩いているようで、不思議な光景でした。
たまたまサンドイッチを持参していたので、こんな実験をしてみました。
まずパン屑を行列の中に落としてみると・・・・
偵察係のようなアリがフンフンと様子を見にやってきましたが、特に興味なく相変わらず花を運んでいきました。
次にチーズのかけらを落とすと・・・・
一瞬チーズの周りのアリたちの足が止まり、花にしようかチーズにしようか迷って行列が少々乱れ、結局「花係」と「チーズ係」に別れてご馳走は巣に運ばれて行きました。
最後に生ハムのかけらを落とすと・・・・
瞬時に行列は消え、一斉にドワワワー―っとハムに集まり、数匹が力を合わせてワッセワッセと生ハムをそのまま巣に向かって運び始めるではありませんか。
さっきまでの花なんか見向きもせず、一心不乱に生ハムを運ぶアリさん達の姿。人間にもアリにも生ハムはやっぱり美味しいのだと確信した瞬間でした。
あんまり喜んでくれたので、彼らにとってもこんな事は滅多になかろうからと、アリの巣の入り口の面積の5倍くらいの面積の生ハムで巣の入り口を覆ってあげることにしました。
これは・・・
私がピアノを弾いている間に、私達人間が認識していないある存在が、そっと家の玄関の前に私の大好物の枝豆と納豆を山盛り置いて行ってくれて、ピアノを弾き終わった私が何も知らずにドアを開けた瞬間、枝豆と納豆が雪崩のように崩れ落ちてくるという現象と匹敵するのだろうか・・などと考えてしまうのでした。
その後、帰り道にあのハムはどうなったか見てみると・・・。
すっかりキレイに穴の中に運ばれてなくなっていました(よかったよかった)。
アンダルシアに住んでいる一年の中で、今ほど散歩が楽しい季節はありません。
真っ赤なケシの花が野原一面に咲き、その合間にはカモマイルやホタルブクロや豆の花が咲き乱れ、その根元にはてんとう虫や真っ黒な堅そうな虫、蟻、毛虫・・ありとあらゆる昆虫が蠢き、そこに影を揺らすのは実がギッシリとなったイチジクの木や小さな粒を付け始めた山ブドウの蔓葉。
自分のたった二つの目では見つけきれないほど、野原は宝の山です。
スペインの野生の豆を見ると、小学校の通学路で友達と競ってピーピー豆を探した事を思い出します。カラスノエンドウという野草豆で、程よく膨らんだ豆の中身を取り除いて吹くと、立派な笛になるのです。
それにしても、このスペイン版ピーピー豆。
近所のおばちゃんに使い道を聞いてみたところ、中の豆を出すところまでは日本と同じなのですがその後「笛」にするなどと言う遊びはなくて、そのままパエリアに入れて豆ご飯にするのだそうです。
ああ、何て美味しそうな話・・。
スペインを代表する作曲家、イサーク・アルベニスが作曲したアルバム「イベリア組曲」の中に、「ロンデーニャ」という曲があります。
まだドイツに住んでいたころの学生時代、この曲に出逢ってスペインに憧れ、行ってみたいなと思いを高鳴らせた大好きな曲の一つです。
このロンデーニャの舞台、アンダルシアのロンダと言う街に週末行く機会がありました。
コルドバから車で南へ約2時間。山岳地帯の美しい自然が広がる所にこの街はありました。
人口4万人ほどの小さな街ですが、新石器時代から人が住んでいたとされ、その後ケルト、フェニキア、ローマ、イスラムと支配者を変えながらも生き続けてきた古い街です。
不思議な明るさと静けさのある街で、人々は至って開放的で社交的、何か女性的な雰囲気を感じる土地でした。
昔から、地球上いろんな村や場所を旅する時に、その場所が持つ「調性」を探すという遊びをするのが好きです。人も動物も場所も、何故か「調性」があるような気がしてなりません。
ハ長調の村もあるし、二短調の犬もいるし、変ホ長調の友達など・・・なんでも調性にして遊んでいると、面白い事もあります。
あっちから嬰へ短調の和声的短音階がやってくるな~と思ったら何年ぶりに久しぶりにバッタリ会った友達で、そういえば昔もやっぱり嬰へ短調の和声的短音階のままで全然かわらないなぁとなったりするのです。
これでいくと、ロンダはシャープ系の調性、ニ長調かな~、などと思ったりしたのですが、なるほどそういえばアルベニスの「ロンデーニャ」も曲の始まりはニ長調だったゾ、などと妙に納得してしまったりするのでした。ま、この場合、潜在的な思いもあるのかもしれませんが・・。
それにしてもこの街。断崖絶壁の上に立っていて、高所恐怖症の人にはかなり厳しい場所が沢山あります。
写真は泊ったホテルなのですが、窓から下をのぞくと・・・まるで空中にいるようで、とても素敵でした。
ちなみに、高所恐怖症の私の父ちゃんだったら、このホテルには宿泊できないだろうな~と思うのでした。
先日のマドリッドのコンサートが放送されたのを見て、トリニーという女性からメールが届きました。
このトリニー。今から15年前に初めてキューバに行った時のハバナ行きの飛行機の隣席に座っていた女性で、ホテルも同じ、帰りの便も同じ、という不思議なご縁で繋がった人でした。
その後、数回手紙は行き来したものの、10年以上お互いの連絡先も分からないままでした。
当時私はハバナ国際現代音楽祭で演奏会をしに行ったのですが、薬剤師の卵だったのトリニーは国際薬剤師学会に出席する為にキューバに行ったのでした。
彼女も私もキューバを旅するのは初めてで飛行機の中でお互い胸の高鳴る思いを語った事を今でも覚えています。
ハバナ空港からホテルに行った時の事です。
深夜と言う事もあってか、街も真っ暗、ホテルも真っ暗。街灯もホテルも街全てが全部停電していて、チェックインも懐中電灯の光での手続きです。鍵をもらって手さぐりで部屋に辿り着き、ドアを開けた瞬間。黒い小さな影がワサワサワサっと動いたような気がしました。
「マックロクロスケ・・??」
長旅の疲れと時差で、深く考える気力もなく、とにかくシャワーを浴びて寝る事にしました。
キューバのシャワーと言うのは、シャワーヘッドが天井に固定されていて、蛇口をひねると天井からザザーっと水が降ってくる・・という構造なのですが、このホテルの天井は果てしなく高く、しかもシャワーヘッドはほとんどの穴が根詰まりを起こしていて、どう言う訳か何十とある水が出てくるハズの穴のうち、端っこの一つの穴と、その対角線上にあるもう一つの穴から二本の水が外側にむかって真横に出てくるのです。
梯子を使っても届かないほど高い所にとりつけられているシャワーヘッドの二本の穴から出てくる水はバスルームの左右両端に噴き出し、シャワーの真下に居る私には一滴たりとも降ってこない・・・。こんなシャワーやってられるかーッというシャワーです。
フロントに行く元気もなく、電話も故障していて使えず、しかたなくコンタクトレンズを外して、水を一杯飲んで寝ることにしました。
その夜・・・・・。夢なのか、現実なのか、体の上や顔の周りを何かがシャカシャカと動いている気がして仕方ありませんでした。ただ、あまりにも疲れていて、それを追及する前に眠りに落ちて行くのでした。
たっぷり寝て元気に目が覚めた翌朝。ベッドの横に置いてあった夕べの飲みかけの水が残っているコップを見ると、コップの中身が真っ黒になっています。何しろコンタクトレンズをしていないと良く見えないのです。
「夕べ飲んだのはコカコーラじゃなくて水のはず・・・」
と、コップに近寄って見てみると・・・。
コップの中は確かに水なのですが、そこに大中小様々なサイズのゴキブリ君が10匹ほどおしくらまんじゅうのように溺死しているではありませんか。
タダチに脱出しようと、荷造りをしてホテルを後にするのに15分もかかりませんでした。
そして、今回の旅行を予約した旅行代理店の事務所にホテルを変えてもらうよう交渉に行くと・・・そこには見覚えのある姿が。
目の下に真っ黒にクマを作って髪の毛もボーボーとなったトリニーが私と同じように荷物をまとめて、代理店の人と交渉しているのです。
可哀想にトリニーは水の出ないシャワー室で素足のままゴキブリを踏みつぶし、その足を洗う事もできないまま寝た所、今度は耳にゴキブリが侵入し、そのまま一睡も出来ず、荷物をまとめてやって来ていたのでした。
トリニーのメールでは、あれから薬剤師になって、自分の薬局も持ち、今は結婚してマドリッドに住んでいるそうです。
次回マドリッドでキューバの懐かし話しましょう!と言う事になりました。
写真はトリニーが送ってきてくれたハバナのバス(というかバスと言う名のダンプカー)での写真です。さすがに15年前の新鮮な風貌の自分に少々愕然としましたが・・。
先週、マドリッドのフェルナンゴメス市立劇場でのコンサートが無事に終了しました。
終わったのは先週日曜日なのですが、あれから肝抜け状態で何も手に付かず、ひたすら睡魔とオリーブ花粉と闘い続け、気が付いたら今日になってしまいました・・・。
私にとっても本当に多くの事を学んだ忘れられない演奏会となりました。
全9曲、合計1時間40分のピアノソロリサイタルですが、巨大スクリーンと照明デザイン、そしてアクロバットも入れてのコンサートでした。
国営テレビと民放2局が中継車を入れて撮影をしたり、ドキュメンタリーにしてもらったりで、スペイン全国にも放送され、本当に多くの方と繋がる事ができた有難い機会となりました。
演奏会の中で、
「雨の中浮かび上がる修道院(Obona)」や、
「満月の夜、野原の草にくっついた夜露が一粒一粒全てが月を反射し、野原はまるで星の野だった」
という曲があるのですが、その時に子供の時からの夢だった「ドライアイスの煙」がとうとう実現したのですが、
「嵐の中の曲だから、煙も大盛りでヨロシクね」
とスタッフに注文したところ、注文通り物凄い量の煙がモクモクと出てきて、あれよあれよと言う間に視界が真っ白になり、あたりを見渡したら客席もピアノの先も見えないくらいの濃霧になったのでした。
客席で見ていた友達が後から
「煙に巻かれて全部見えなくなって、そのまま消えちゃうのかと思って一瞬ワクワクした」
という感想をもらいました。
・・・そういうバージョンも悪くなかったりして・・。
写真は、楽屋でマネージャーのヘマちゃんと、広報担当のスサナです。
行ってきました。カナリア諸島、ランサローテ。
鍾乳洞を15分ほど地下に向かって歩いて入り、地下60メートルの地点に広がる巨大洞窟でのコンサート、想像を超えた美しさと音響を持つ自然が生んだコンサートホールでした。
コンサートには多くのランサローテ人と沢山の外国人観光客の方が来てくださいました。その中でもなぜかドイツ人が半分近くもいたので、主催者のランサローテ市役所の方と相談して、トークはスペイン語とドイツ語で行う事になり、久しぶりにドイツ語を話したら
「まさかアフリカの横のスペインの国で、日本人が喋るミュンヘンなまりのドイツ語を聴くとはおもわなかった」
とコンサートの後にあるドイツ人のお客さんに言われてしまいました。
おなじスペインでもどこかキューバの香りがあるカナリア諸島でした。
この島の名産の一つ、白ワインは驚くほど美味しかったです。
明日、明後日はマドリッドで結構大き目のコンサートがある予定で、昨日も今日も苦手なラジオとテレビのインタビューの嵐で、少々挫けそうです・・・。
写真はランサローテの葡萄畑です。
溶岩でできた石を積み上げて北から常に吹く風を遮る壁を作って葡萄の苗を守ると言う先代からの知恵が生んだ風景は独特でした。
今、スペインの大地は地平線の先まで全て緑。
草原を見るとウサギ化してひたすら飛びまわる愛犬ワサです。草の香りが好きなのか、草の感触が好きなのか・・・、放っておくと1時間も2時間もひたすら草の中を走り回っています。
明日の夜はランサローテ島でのコンサートがあるので、今晩の便でカナリア諸島に行く予定です。
カナリア諸島はスペインからアフリカ西海岸に向かって飛行機で2時間ほどの所、西サハラの西側にあるスペイン領の群島です。
かつてコロンブス達を始めとする開拓者がアメリカ大陸を目指した時の中継島ともなった島で、キューバにも沢山のカナリア諸島出身の祖先をもつ人がいました。
今回のコンサートは、洞窟をそのままコンサートホールにしたという、スペインでもっとも音響が素晴らしいという噂の劇場が舞台です。
今回は鳥ならぬ、鈴虫ならぬ、コウモリが共演してくれるかな、とちょっと楽しみです。
戻ったら報告します!
今週は聖週間。キリスト教の最大の復活祭のお祭り週間です。
私も一週間の休暇をとってポルトガルの上にあるガリシア州までやってきました。
元漁師の友人宅にお邪魔していますが、お魚のあまりもの美味しさに、毎日唸っています。
「リアス式海岸」という言葉はまさにこのリアス地方から来た名前で、風景も風土もどことなく日本と似ています。
海岸から海を除くと・・・透明な海水の中で魚、貝、蟹、エビがウジャウジャ。物凄い生命力です。
「魚は太らないから遠慮しないで食え!」と山盛りの魚料理を作ってくれる友人のお腹はどう見てもパンパン。
でも、遠慮する訳には行かないほど香ばしく焼かれた魚を見るとついつい手が出てしまうのでした・・・。
来週から毎日のようにテレビに出る予定があって、コンサートがたて続けにあるけど・・・ま、いっか。
写真はアサリのパエリアを作るパコ。
アサリとお米とガリシア産白ワイン、アルバリーニョ、玉ねぎだけで炊き上げる漁師料理です。
この人に「太らないから大丈夫だ」と言われても、説得力ゼロです。
ガスパールという友人がいます。
「CICINA FUTURO(未来の料理)」という料理専門雑誌の編集長で、日本でも良く知られているレストラン、エル・ブジやムガリスなどのモダンスパニッシュ料理の世界に多大な影響を持ち、与える人でもありました。
私も大の仲良し飲み食い友達で、時々雑誌に食の記事も書いています。
つい先週もマドリッドでモロッコ宮廷料理を食べに行って、4人でワインを6本も開けた所でした(ホントのモロッコでは宗教上お酒は飲めませんけど)。
そのガスパールが昨日通勤途中の突然バスの中で倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまいました。
なんて突然人はあの世に旅立ってしまうのでしょう。
夕べの月はいつもと全然違う不思議な輝き方をしていました。月も泣いてるのかな。