今日のひとこと
最近、ハマっている食材があります。
「サルチチョン」。
言ってみればサラミのようなものです。ふつうは棒状になった塊ごと売っていて、それをお店で切ってもらったり丸ごと買ったりします。種類にもよるのですが、直径が4~8センチくらいあって長さも30~70センチくらいあります。
しかしこれが、場合によってはイベリコ豚の生ハムを超える美味しさなのです。
色々調べてみると、地域や豚の種類によってサルチチョンの製造方法も相当違うようです。
このサラミにハマって一カ月試しまくったところ、まだまだ試す余地はありますが、バルセロナがある、カタルニア地方のVIC(ヴィーク)という地域で作ったサルチチョンがズバぬけて旨いと言う事がわかりました。
豚肉の赤身肉と、豚の脂肪分をそれぞれ叩いてブレンドして塩とあらびき胡椒(または胡椒丸ごと)、を練り混ぜて、豚の小腸に詰め、風通しの良い日陰に吊るして数十日から数カ月間、熟成させるそうです。
レシピだけだとスペイン全国で作っているサルチチョンとあまり変わらないのですが、VICのサルチチョン協会の話によると、決定的な違いは、熟成させる基本の空気・・・つまり、ヴィークの空気なのだそうです。
ピレネー山脈から吹いてくる山の涼しい風と地中海から吹いてくる湿った熱い風の二つ、そして地形上発生しやすい霧がこのサルチチョンの熟成を何とも美味しくするのだそうです。
最近は、昨年末に作ったサルチチョンの熟成が完了して、今はどこのバルにいってもサルチチョンがぶら下がっていて、皆もビールを飲みながら2,3枚切ってもらってつまんでいます。
胡椒がピリっと効いて、肉がほのかにうまみを出して、これがもうワインと一緒にいただくと・・・たまらなく美味しいのです。
今年の目標の一つ。
サルチチョンのエキスパートと呼ばれるくらい頑張りたいと思います。でもエキスパートになった頃には高血圧になってるかも・・・。
週末に中央スペイン、カスティージャ州にあるダイミエルと言う街で演奏会があって一泊かけて行ってきました。
この村がある場所は、トレド山系からやってくる豊かな水源がある湿地帯で、ワインの産地でもあります。コルドバからはアンダルシア街道を北上して2時間、マドリッドからなら南下して2時間の場所にあります。
演奏会の会場はダイミエル市劇場の大ホールで、開演は午後8時。お客さんも沢山来てくれて、有難い事に会場も満席となりました。
いつものようにピアノソロとトークで弾き/喋り倒したのですが、お客さんの反応がアンダルシアの街とは全然違うので驚きました。
聴き方がツウと言うか、非常に静かで寛大、でもトークでは本当によく笑い、話しかけてくれるのです。
普通は演奏会でプログラム通りに演奏するのはあまり好きではないので、いつも20曲(2時間分)くらいの曲を準備して、本番の雰囲気やお客さんの状態によってその中から12曲(一時間半)程を演奏するのですが、このダイミエルのお客さんはなかなか面白くて、調子に乗って喋って弾いている内にあっという間に2時間が過ぎてしまいまいました。
でも、地方の演奏会の終了後の楽しみは何かと言えばやっぱり、その村で飲む一杯とタパス。
それにしても・・ダイミエル料理は美味しいのです!!
赤ピーマンをオーブンでじっくり焼いたカポナータに、パルメザンチーズのように熟成した羊のチーズ、生のアーモンドを炭火で炒ったもの、パンをチョリソーとニンニクで炒めた「ミガス」、オレガノに漬けたオリーブの実・・・。
あともう一つ、ダイミエルで驚いたのは「水」です。スペインでも有数の水の豊かな場所なのですが、まるで温泉水のような水で、お風呂に入るとまるで保湿乳液のように肌がしっとりするのです。水を飲んでみても、ミネラル分の多い味がして、驚くほど美味しいのです。
こんなマイナーな街に行かれる方も少ないと思いますが、もし車でカスティージャ・ラ・マンチャを旅される予定がある方は是非このDAIMIELで一泊なさってみてはいかがでしょうか。人々は本当に親切で、温かくて、素晴らしい街です。
、
一日の中で、私が一番好きな時間があります。
CDを注文してくださる方からのメールが届いたときに、その注文をくださった方のお住まいの土地を想像しながら心で旅をする時です。。
北海道や、北陸、四国、九州、沖縄などの遠い所からのメールをいただくと、わあ、私のCDはあんなに遠くに旅をして、そこで聴いてもらえるんだ!と思うだけで、もう嬉しくて、ワクワクしてしまいます。
CDが流れるその方のお部屋はどんなお部屋なのかな、とか、どんな飲み物を飲みながら聴いているのかな、とか、その窓からはどんな風景が広がっているのだろう、とか・・。あるいは、車の中だとしたらどんな大地を走っているのかな、などなど、想像の旅は止まりません。
私が行けない所にまで音楽は届くんだと思うと、音って羨ましいーーーーーと思ったりもします。
最近遠い所と言えば、メキシコにお住まいの日本の方からもメールをいただきました。メキシコの生活の様子も色々教えていただいて、思わずメキシコファンになってしまいました。またしても夢が膨らむ思いです。
明日は、カスティージャ地方でリサイタルです。イベリア半島の中央高原湿地帯にある、ダイミエルという街が明日の会場です。まだ一度も行ったことのない村ですが、湿地帯料理ってなんだろ~!?と既に打ち上げバルで出てくるタパスが楽しみなのでした。
今年2歳になる家のワンコの名前は「ワサ」です。
ミンクにも負けないマフラーになりそうな柔らかい白い毛だらけのチビ犬です。混ざりまくって、祖先がどんなワンコだったのかも良く分からない不思議な風貌のワンコです。
この犬が家にやって来てからは毎日散歩に行くのですが、散歩コースはグアダルキビル河を通ってローマ橋→メスキータを通って帰ってくる3キロコースと、近所のローマ遺跡の上に出来た大きな公園の近場コースの二つがあります。
この公園コースは夜9時になるとワンコタイムで、近所に暮らす犬が大集結します。
面白いのがこの子たちの名前。
「ミカ」
「ソラ」
「ヨーコ」
「トラ」
「タカ」
・・・・。
どうも日本語に聞こえませんか。
飼い主に聞くと、日本語は全く知らないけど、何となく呼びやすい名前を探してこうなった・・・と言います。
コルドバの旧市街には至る所にローマ・西ゴート・イスラム時代の柱が立っていて、その柱ごとにもれなくシーっとシッコをするワサ。
2000年という時の流れで、ローマやイスラムそして今のワンコ達にマーキングされ続けたこの柱の麓の微妙な削れ具合と色合いがなんとも笑えるのです・・・。
家から歩いて2分の所にあるコレデラ広場で、毎年恒例の「中世祭り」が始まりました。
紀元後500年~1500年くらいの中世ヨーロッパの時代考証を元に、服装から出店のデザインまで、まるで中世の世界にタイムワープしたかのような気分になる、なかなか洒落た祭りです。
中には、羊やラクダやガチョウ、蛇、梟使いもいたりして、子供にも大人にも楽しくて勉強になってしかも美味しくて酒も山盛り呑める素晴らしい祭りです。
昨日はグラナダに住むフラメンコの踊り手&歌い手のカップルが家に泊りがけで遊びに来てくれて、朝3時まで呑み倒しました。
それにしても、中世料理と言うのが、なかなか美味しいのです。
中世と言っても時代としては1000年の幅があるので、その時々や情勢によって料理も色々変わっているとは思いますが、その料理の一つ「豚の炙り焼き」と言うのが強烈に美味しいと思いました。
豚を丸ごと一頭串刺しにして荒塩だけを肌にすり込み、それをじっくり遠火の炭火で一日かけて炙り焼きにする料理です。
そういえば、キューバに暮らして最後にお別れパーティをした時にも、同じレシピで豚を一頭丸焼きにした事がありました。
当時、キューバで豚は希少な存在で、なかなか手に入るものではありませんでした。
でも、特別な最後のお別れパーティなので、お世話になった人々や教え子、同僚達に美味しい物を作りたいと思い、何とか豚を一頭探そうと頑張りました。
そうこうしている内に、「教え子の知り合いのいとこの友達」が何処からか豚を一頭譲ってもらえるように話をしてくれて、その豚を引き取りに教え子と一緒に自転車で20キロも離れた村まで行ったのでした。
ところが、その晩丸焼きになる予定の豚は女の子で、物凄く可愛い上に表情も豊かで、長いまつ毛のツブラな瞳で私を見上げるのです・・。
縛り付けられて袋に入れられた状態で豚を受け取ったのですが、あまりにも啼いて暴れるので、袋から出して縛り付けていた縄を首輪にして、まるで「犬の散歩」のように帰りの20キロを自転車をひいて豚と一緒に家に帰ったのでした。
何も知らずに機嫌良く歩く豚。そして、家が近づくほど憂鬱になって行く私・・・。
家に行くと今晩の豚の丸焼きパーティを楽しみにしている人が家族連れでタッパーまで持参して既に沢山集まっていて、とても断れない状況になっていたのでした。
「この晩餐会の主催者はあなたなので、あなたがこの豚を殺すのが礼儀です」
そうキューバ人の同僚に言われて、「はいこれで。」と、野球のバットを手渡されたのでした。やっぱり・・・野球大国、キューバ・・・。
そして無邪気な顔をしてすっかり散歩友達になってしまったような目で私を見る豚・・・。
あの日、神様に固く誓ったのでした。
「この日を最後に一生涯、豚の丸焼きは食べません」
あれから10年。
ああ、あの誓いは一体どこへ。
豚の丸焼きってなんて香ばしくて美味しいのでしょう・・。そう思いながら中世ワインと一緒に美味しい夜が過ぎて行くのでした。
スペインの料理専門雑誌「COCINA FUTURO」に日本の食について記事を掲載しています。
でも、スペイン語で書く時に本当に困るのがお魚の名前。今までは日本語→英語→スペイン語で調べていたのですが、偶然にも素晴らしいサイトを見つけてしまいました。
http://www.oceandictionary.net
この中に、和西(西和)海洋辞典というのがあって、メチャクチャ専門的なのです。きっと、世界中に遠洋漁業に行かれている方々の為にも役立っている貴重なサイトなのだと感動さえ覚える素晴らしい情報源です。
ここで検索すれば、探している単語が大体見つかります。
これさえあれば、「赤なまこのポン酢あえ」も「淡路産泳ぎカワハギの肝合え」も「広島産おたふく牡蠣のチヂミ」も「松葉ガニ釜めし」も、ちゃんと隅々までスペイン人に伝えられる・・!
ああ、こんな事をしている間に今日もピアノを弾かないまま一日が終わってしまったのだった・・・。
先日、日本からスペインに戻ってくる飛行機の中でマイケルジャクソンの映画「THIS IS IT」を見ました。
中学校の時から好きで、よく彼の音楽も聞いていました。ところが、この映画を見て今まで想像していなかったマイケルの別の魅力に圧倒されて、飛行機で5回くらい繰り返し見てしまいました。しかも見すぎたせいか、夢にまでマイケルが出てきました(ラッキー!)。
マイケルの曲を彼自身がどこまで作曲して、誰が楽器用に編曲しているのかはわかりませんが、編曲の仕方が凄く独特で統一性があって面白いと言う事と、曲の旋律がメチャクチャ綺麗なんだと言う事に驚きました。
彼のかすれた細かいビブラートの歌声や高音の掛声、時折激しい顔をする表情、そしてあの踊りを見・聞き慣れているので、今まで気がつかなかったのかな。
目を閉じて、旋律と歌詞の息づかいだけを聞いていると、私達も、そしてマイケル本人すら知らない、彼の整形手術をしていない真の素顔が見えてくるような気がするのです。
温かくて、優しくて、寂しくて、人が好きな、普通の一人の男性が見えてくるのです。
そう言えば、大学時代ミュンヘンのオリンピックスタジアムにマイケルのコンサートを見に行ったことがありました。
これが、とにかく物凄い人で、しかも貧乏学生だった私がやっとゲット出来た入場券はスタジアムの果てしなく後ろの方の席だったので、マイケルが豆粒ほどにしか見えない状態でしたが、確かに、そのコンサートは壮絶級に凄かった。
一番凄かったのは、コンサートの最後にマイケルが「I LOVE YOU!」と言って、さようなら!と手を振ったまさにその瞬間。スタジアムの横に雷が落ちたのです。
誰もが、雷も舞台装置の一つかと一瞬思いました。
彼の音楽エネルギーは天地をも動かすのか・・と、一ピアノ学生の私は思ったのでした・・・。
嵐のような12日間の日本滞在が終わってコルドバに辿り着きました。
時差ボケと風邪といろいろ重なって、全然頭がまわりません・・・・。
大阪の玉出に、「GENJI」という物凄ーく美味しいレストランがあります。
大阪在住の酒豪ピアニストの間でなかなかの人気があって、そんなきっかけで私も行くようになって4,5年になります。
ここに元川シェフという、凄腕の料理人がいて、この人の手にかかるとどんな食材も魔法にかけられたように美味しくなってしまいます。
何料理か?という問いに答えるのは難しいですが、
「国境を越えて美味しいものという一言で繋がった、ありとあらゆる」料理でしょうか。
この元川シェフの料理する姿は、分野こそ少々違いますが毎回私にとって何かを教えてもらうような気がしてなりません。
どんな場所の、どんな楽器ともその時にしかない出逢いと最高の音があると私も信じている一人だからです。
元川シェフは謙虚で丁寧過ぎてほとんど表に出てきませんし、多くは語りたがりませんが、心やさしく思いやりのある料理を一人一人に出してくれます。
そして「こうじゃなくちゃいけない!」という固定されたこだわりが無くて、食材や人と一期一会に向かい合う、そんな感じです。しかも、相当リーズナブルです!!
実は、この春。
最高に楽しみなイベントが開催されることになりました。
バルセロナで最も美味しいレストランの一つ「NECTARI」の料理長が初来日して、3月30日、31日の二日間、大阪のこのレストラン「GENJI」で同じ食材による二人の競演(饗宴?)をするのです。同じマグロや、豚肉、野菜、フォアグラ、米などを使って、2人の全く違う国に生まれた料理人が何を作ってくれるのか、今から楽しみです。
具体的な予定や内容が決まりましたら、またホームページでもご案内します。
ちなみにゲンジはここです。
http://www.genji-1994.com
さらにちなみに、バルセロナのNECTARIはここです。
http://www.nectari.es
スペイン語とカタルニア語と英語ですけど・・。
す・・すみません・・・。しばらくまるっきり日記が書けませんでした。
あれから帰国し、東京で新しい曲を収録して、実家の名古屋に寄り、そしてとうとう昨日、京都に戻りました。
新曲の収録は無事に終わりました。
レコーディングが行なわれたのは、渋谷のNHKセンターにある505スタジオという、フルオーケストラも丸ごと2つくらい入りそうな巨大で最高の音響があり、優しい響きのするスタインウェイのグランドピアノが入っているスタジオです。
ここ数週間、スペインの自分の練習室で引き籠り作曲をしていた上に、去年一年間は様々なレコーディングが全てラテン系大爆発のマドリッドのスタジオだったので、今回の東京のスタジオで何から何まで感動してしまったのでした。
ピアノの調律は抜群。全てのスタッフ一人一人の方の機敏で的確で正確で繊細で丁寧で素早い心のこもった仕事ぶり。そして、一切の故障も停電もショートも煙も吹かない完璧な最新鋭の音響機材。
そして、差し入れにポット一杯に入った濃厚な香り立つスパイシーな手作りチャイまで入れていただき、本当に感動しました。
日本って素晴らしい・・。
いや、でも、そういえばキューバからスペインに戻った時には、ピアノの蓋を開けてもコウモリが出てこない事に大変感動したっけ・・。
ってことは、感動って、やはり比較に準ずるものなのかな。
今回は何曲も新しい曲を録音したのですが、その中でも「雨」と言う曲が生まれたことをとても幸せに思いました。
曲作りは不思議なもので、私が「作っている」という感覚ではなく、どこからかやって来る「出逢い」のような気がしてなりません。
そのなかで、この「雨」と言う曲は何か特別な思いのような、懐かしい再会のような、そんな不思議な気がしてならない曲です。
・・・・ただ単に、昔どこかで聞いた曲を知らず知らずの内にパクってたって事は・・・ない!絶対にないーー!。
いや、でも、一度「なんて今回はすらすらとメロディが思い浮かぶんだろう」と調子に乗って曲を書いた後、しばらくしてそれが実は4歳頃の時に弾いた「赤いバイエル」のメロディそのまんまって事があったしーー。ッて事は・・・・。
「雨」。近い日に是非皆さんに聞いていただけたら、と心から願っています。
昨日は今年第一番目のリサイタルをやってきました。
場所はアルバセテという中央スペイン、カスティリア・ラ・マンチャ州にあるイゲルエラと言う街でした。
コルドバから片道420キロもあって、一日で往復800キロ以上。でも、道中は退屈するどころか次から次へと広がる平原、いくつも超える山脈、たくさん降った雨をたっぷり含んで発芽し始めた麦畑の丘陵地帯・・・ワクワクし通しの旅でした。
昨年と今年はカスティリア・ラ・マンチャ州の選抜アーティストに入っているので、この州内にある劇場や文化センターでのコンサートに沢山呼んでもらっています。
この地方は別名、ドン・キホーテ地方とも呼ばれていて、セルバンテスが書いた小説・ドンキホーテの舞台の村が今でも小説のままのような風景で残っています。
カスティリア・ラ・マンチャ州の人々は独特の強さと優しさを持っていると、コンサートを通していつも感じます。何代も広大な農地を耕し続けた人々は、地図で見ればホントに田舎に暮らす人々ですが、受け入れの心が寛大で、よく笑い、豪快で人情たっぷりです。
イゲルエラの街もとても綺麗でした。
標高が1000メートル以上あって、空の色が特別に透き通っているような気がしました。
またヨーロッパで一番風力発電用の風車が立っている街なのだそうです。
そして、ドンキホーテツアーの最大の醍醐味はリサイタル後のゴハン!!いつも劇場の関係者に村で一番おいしいバルを訊ねて、そこでマネージャーのヘマちゃんとお疲れ様会をするのですが、ここイゲルエラのバル「LOS ANGELES」のゴハンは美味しかった!!ジャガイモとレバーをクミン・シナモン・丁子で味付けしたパテや、イカ胴体のタコの足詰め・・イカもまさかこんなことになるとはびっくりでしょうけど・・、これもオリーブオイルでいためて、とっても美味しかったです。
コルドバに戻ったらすでに午前3時前・・・。
さすがに今回はハードでした~。
今日はこれから荷造りして、明日朝7時の便で帰国です。
今回は経由地がミュンヘンで、乗り換え時間が6時間もあるので大学時代の友達が迎えに来てくれることになりました。
ビアホールに突撃ですー!オー!
皆さん。
あけましておめでとうございます。
新たな一年が皆さんにとって素敵で元気で、幸せと感動で一杯の一年になりますように、心から祈っています。
そして今年もなにとぞ、よろしくお願いいたします。
2010年は、新しい曲を沢山作っていきます。またニューアルバムや日本でのライブ・コンサートをいくつか予定しています。
きっと皆さんにお会いできると確信しています。
そして嬉しい新年のメールを下さった皆さん、本当にありがとうございました。
目下レコーディング真っ最中で、なかなかお返事を書くことができなくて本当に申し訳ありません。
お一人お一人のメッセージに元気とインスピレーションをもらいながら感謝一杯でピアノに向かっています。
コルドバは前代未聞の大雨が2週間も続き、洪水寸前です。明後日はイゲルエラという中央スペインにある街でリサイタルをやって、その足でマドリッドに行って日本に戻る予定です。
なので、氾濫の模様が見れなくてちょっと残念ーーーー!
この雨でアンダルシアの来年までの水源が確保できたと言う事で、南スペインの農家は皆大喜びなのだそうです。
それにしても、どうしていつも締切寸前にならないと旋律も和音も出てこないのでしょう・・・。せっかくの大雨も昨日から始まった冬のバーゲンも全然楽しめない~~~!!!!
とうとう2009年もあと少しで終わりです。
コルドバは雨と晴れが交互にやってきて、凄い天気です。
この日記を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。読んでくださる方お一人お一人がどんな方なのかな~なんて想像しながらいつも書いています。そして、顔は見えないけれど、皆さん一人ひとりに励まされ、力づけられて新たな一年を迎える事ができることに、言葉ではとても表現できないほど、心から感謝しています。
どうか良いお年をお迎えください。
皆さまにとって新たな素晴らしい一年がはじまりますように。
年が明けてすぐにまた日本に戻って、レコーディングがあるので毎日、曲作りと闘いつつピアノに向かっています。
行き詰ると徹底的に行き詰って、にっちもさっちも行かなくなり、うがががが~っとなります。
そして、うがががが~のまま、一日が過ぎたりすると、もう泣きたくなってきます。
そう、なので今日はちょっと泣きたい日です・・・。この状態で間に合うかなあ(いつもこう言う展開になるのだった)・・。
時差ボケを解消する一番早い方法は
「機内で酒を飲まない!」
事だと言う事は前々から聞いたり読んだりしていましたが、今回のスペインまでの機内では勇気を振り絞ってホントに禁酒してみました。
これは本当にホントと言う事がわかりました。
到着地に着いてからの疲れ方が違います。
我ながらそんな志の強さにちょっと誇りを感じながら機内でひたすらお茶をすすっていると、日本人の客室乗務員の方が「つかぬことをお聞きしますが・・」とやってきました。何かと思ったら、
「中村うさぎさんでいらっしゃいますよね。」
飲んでいたのがお茶だけに、シラフの私の脳には衝撃も大き目だったのでした。
今年の5月くらいからほとんど雨らしい雨が降っていなかったコルドバに一週間、雨が降り続けました。
そしたら街を流れるグアダルキビル河がほとんど洪水状態になっているではありませんか。
2000年くらい前のローマ時代には、大西洋のカディスの港から船が行き来するほどの大河だったそうですが、今はダムができたり農地の配水などで川幅は広いけど飛び込んだらそのまま頭を打ちそうな、アヒルも歩いて渡れるような水深。
その川がローマ時代さながらに盛り上がって、渦巻いて濁流になって凄い事になっているのです。
早速ローマ橋に見学に行くと、クリスマスで連日の大食に消化不良を起こして頑張って散歩しているコルドバ人で橋は一杯。
いつも犬の散歩で見ている橋の下に住んでいるアヒルと鴨達はどうなったかな~~と探してみると・・・・・・ん? なんか見覚えのない模様のアヒルやら鴨ばかりが泳いでいるではありませんか。
と言うか、泳いでいると言うよりは、流されながら浮いていると言うか・・。
犬の散歩に来ていたおじさんが、ひとこと。
「こりゃ、上流にある隣町、モントロから流れてきたアヒルだなあ」
・・・ってことは、ここコルドバにいたアヒル君達は、下流にある隣町、セビリアに流されちゃったってこと・・・?
日本滞在の最後の数日は本当に嵐のような毎日で、とうとう日記が書けませんでした・・。
そして昨日、コルドバに戻りました。
さすがに今回の旅は無理をしたせいかヨレヨレになりまして、関空からフランクフルトまでのフライトは半分以上気絶したままでした。
でも、ロシアの上空の空はとてもきれいでした。
今は北極圏は一日中太陽が昇らない極夜の時期だからなのでしょうか、夜明け前のような夕焼け直後のような、なんとも不思議で美しい空の色がずっと続いていました。
想像もつかないスケールで広がる湿地帯も全て凍りついていました。でもよーく見ると、ちゃんとあるんです。道や村が。
一体どんな暮らしをしているんだろう、何を食べているんだろう、どんな歌を口ずさんでいるんだろう・・毎回、シベリアの上を通るとき想像してしまいます。
今年のある日以来、近い将来シベリアを陸路でスペインから日本に帰ろうとマジで思っています。
実家滞在の最終日、母と二人で近所の味噌煮込みきしめんを食べに行きました。
それにしても八丁味噌って、どうしてこんなにまろやかで美味しいものなのでしょう。見た目はあんなに濃厚そうに見えるのに・・。
楽しく家に帰り、深夜お風呂から上がった時の事です。
髪の毛を丸ブラシでクルクルしながらドライヤーで乾かしていると、いきなりそのブラシの柄の部分がぽろりんと取れてしまいました。
グルグルに蒔かれたそのブラシの部分に長い髪の毛が絡まっていたので、それをほどこうと適当に引っ張ったのが運のツキ・・・・。
ブラシは私の意を反してどんどん頭中の髪の毛を壮絶に巻き込みながら後頭部にめりこみ、ついに右にも左にもどうしようもない状態となってしまいました。
ああ、これは悪夢なのだ。
全てを忘れて、このままでとりあえず寝て、朝起きてからほどく続きをしようかとも思ったのですが、このまま横たわってはブラシの剣山のような針が頭を突き刺し、とりあえず寝るどころか、起きる前に死亡しそうな状況ではありませんか。
時計を見ると既に1時過ぎ・・。
結局、弟の嫁、ヨウコちゃんを叩き起こしました。
寝ぼけながら起きてきてくれたヨウコちゃんですが、私をの頭を見てビックリ。
「一気に目が覚めました」
彫刻家の彼女はそう言って、絵筆を手にとってその柄で髪をほどき始めました。
何しろ、頭の後ろで起こっている緊急事態なので、私には全く見えず、様々な角度から引っ張り突っ張る髪の毛の痛いこと。ハゲにならないことだけを祈りつつ私は最後の希望のヨウコちゃんに身をまかすだけ。
私よりも11歳年下のヨウコちゃんは、若いのにいつも静かで丁寧な尊敬語を使って話しかけてくれます。そんな彼女の実況解説が私を不安と希望の両極に誘います。
「ミネさん。まるでモリゾーが頭にへばりついているかのようです」
最後はとうとう台所から持ち出した骨切りばさみでブラシを分解しながら、
「大丈夫です。キッコロサイズになってきました」
キッコロがやっと髪の毛に戻ったのは午前3時頃だったのでした・・・。ヨウコちゃん、本当にありがとう。
ああ、一人じゃなくてよかった。
昨日の朝、果てしなく具体的に地震の夢を見て目が覚めました。
場所はスペインで、マグニチュードの数値や震度も鮮明に記憶するほどリアルな夢なのです。
朝ご飯を食べながら携帯電話を見るとマドリッドに住んでいるマネージャーのヘマちゃんからメールの着信がありました。
「こっちは地震があって、すごい騒ぎになってるわよ」
それを読んでビックリ、本当にスペインの南部で地震があったのです。ちなみにスペインは、地震がほとんど起こらない国です。一番最近起こった大地震は1755年のリスボン大地震で、コルドバのメスキータにもその時のヒビがのこっています。
それにしても不思議なのです。今回のスペインでの地震は、丁度私もその時間に夢を見ていたらしく、しかも夢で見た通りのマグニチュードの数値なのです。
・・・ただそれだけの事なのですが、なんだかものすごーーく嬉しくなってしまいました。
そう言えば、インド洋で津波があったときもその時間に、潮に流されてグルグルと海底へ自分が沈んでいく夢を見て、息苦しくなって目が覚め、後にニュースを知って本当に驚いた事があります。
地球と人の中で意識を共有する何かがあるのでしょうか。
名古屋弁こそが私の母国語だと改めて確信してしまいました。
昨夜、最終の新幹線で故郷愛知に戻りました。
嵐のような毎日が嘘のように静かな時間が実家には流れています。
庭には柑橘の実がたわわになり冬の花が咲き、台所に行けば父が作った野菜が山のようにあって(今は根菜でいっぱい!)、姪っ子も一回り大きくなって家中をトコトコと走り回るようになり・・・私も同じ村に生まれて、どうしてこんなに静かな暮らし方ができないのかなと、いつ帰郷しても恒例のように思ってしまいます。
東京では久しぶりに会った友人が皆口をそろえて、
「なんか珍しく元気ないけど、大丈夫?」
と言われ続けてしまいました。
自覚症状の全くない私はあまり分からなかったのですが、何となく全体的に不調なので子供の頃からお世話になっている鍼灸院に行ってみました。
久しぶりに会った先生が一言、
「どえりゃあ疲れとるがね」
ああ、魂の髄にまで共鳴するこの美しい響き。
そうか、私は疲れていたんだ。やっぱり生まれ育った母国語、名古屋弁だからこそ、体は芯から納得するのだと、妙に納得したのでした。
そしてさらにもう一言。
「おみゃあさん、ちょっと肥えられた?」
ああ、こっち方面にグッサリ響くのも名古屋弁なのだった・・・・。