今日のひとこと
東京はある意味、森みたいに見えます。
滞在中のホテルの窓から見えるのは表参道・渋谷、それから富士山が見える山脈まで広がる樹海のような建物の森。
地面から果てしなく程遠くて、どんなにしても開けることのできない窓から広がる風景はまさに森です。
ホテルから一歩外に出ると様々な音と生き物がウヨウヨする「動」そのものなのに、外界との空気も音も遮断されたこの高層ホテルの高い部屋から見下ろす風景はまるで「静」。
夜になると、これがまたアマゾンの森に何処となく似ています。
摩天楼の光は、無限数に光るカブトムシサイズの蛍の光に。唯一防音窓を通り抜けて聞こえる救急車や暴走族の音が、時折遠吠えする野生の動物や夜行性の鳥の鳴き声に・・・。
それにしても、こんなに高いビルをタケノコが生えてくるみたいにどんどん建てちゃって、ローマ建築みたいに2000年も持てば良いけど、あと数世紀もしてボロボロになったら、どうするんだろう・・。タケノコ狩りみたいにザックリは切れないしなあ・・・。
今日は渋谷のNHKで打ち合わせがありました。
現在放映中の番組「猫のしっぽ、カエルの手」の放送が延長されることになり、それに合わせて音楽も新たな曲をレコーディングをすることになりました。来年からは更に番組の音楽も充実させることができそうで、本当に嬉しいです。
番組の回を重ねるごとに私も、ベニシアさんの声と一緒に流れるピアノ曲はこんな音にしたいな~とか、あのガーデンの香りはピアノにするとこんな響きになるかな~という色々な思いが生まれてきていて、頭の中では結構曲想が息吹いてきたような気がします。
あと、春ごろには番組DVDも発売されることになりました。
ところで、「猫のしっぽ、カエルの手」の制作のスタッフの方々は皆、惚れ惚れするほどカッコよくて、面白い人々です(男も女もいます)。
なぜか「旨いモノ&酒&旅」に異常なこだわりがあるという共通点があって、打ち合わせの後の宴会がこれまた話が止まらず盛り上がります。
あと少なくとも1年、一緒に番組を続けて行けることが何よりも嬉しくて、今日はちょっとハッピーな気持ちです。
京都に辿り着きました~。
こっちは雨です。1カ月帰っていないだけで街の風景も色彩も変わったものだと驚いてしまいました。でもこの雨で紅葉も散ってしまうかな。
京都の街の香り、特に雨が連れてくる香りは本当に好き。やっぱりここは良いなー。
それにしても眠い&疲れた~。映画を3本見倒してほとんど眠れなかった・・・。
すみません、今日はこのまま寝ます。
明日の朝の便で日本に帰るので、今日は荷造りと後片付けで朝からバッタバタ。
あと1時間でマドリッドに向けて出発なので、京都に辿り着いたらゆっくり書きます~~。
衝撃的なドキュメンタリー番組を見ました。
「刑務所合唱団」。
マドリッドの刑務所に一人の音楽家が音楽療法の専門家としてやってきて、3カ月後に合唱コンサートを開くという密着ドキュメンタリーです。
凄いのは、合唱団のメンバー、つまり収容者の一人ひとりを非常に細やかに描写していて、その人が収容された理由、在刑務所歴、家族構成、収容されている部屋など、隠し事は一切なし。
沢山の困難を乗り越えて、最後に刑務所広場で特設ステージの上で見事にコンサートを成功させ、音楽家は刑務所を去っていく・・・というストーリーです。
麻薬取引、殺人、窃盗・・など、比較的重い刑を受けた人たちの心の動きや、歌を通して何かを目指して行くという大きな目標を見つけることによって生きがいを見つけて行く描写が見事でした。
一見怖そうな人たちをクローズアップしていくと、実は一人ひとりの心の中にはガラス細工のように繊細で、人を信じたい、信じられたい、そして自分を信じたい・・・
複雑な心理が音楽を通して爆発的に見える瞬間がありました。
それにしても、皆歌が上手かった。しかも、ジプシーはいるしモロッコ人もいるしで、是地妙なフラメンコフュージョンなってる所が・・・。
クリスマスイルミネーションのライトアップが始まりました。
コルドバの場合は、街中の椰子の木とオレンジの木がクリスマスツリーになります。
ヤシの木は幹に電球をちりばめるので、やたら棒のように長ーーーーーーい不思議なツリーとなり、オレンジの方は葉の方に電球をつけるので、たわわになっているオレンジ色の実と一緒にメチャクチャ賑やかなツリーになります。
でもキリストが生まれた場所だって、ヨルダン川付近のベツレヘムという乾燥地帯の南国だし、ホントは椰子の木の方が近いのかも。
そういえばミュンヘンで学生時代の時、このシーズンになるとクリスマス市に行って同級生4人と、讃美歌をアカペラコーラスで歌って不法バイトをしていた事を思い出します。「不法」と言うのは、音楽家や音楽の学生は辻音楽師をやってはいけない、というドイツの法律があるからです。なので、警察が通り過ぎる度に微妙に音痴に歌ったりしてバレないように誤魔化します。
実はこれが意外になかなか良いバイトで、この収入でかなり生き延びた記憶があります。
ミュンヘンの冬はコルドバと違って本当に寒いので、2時間も歌うと体の感覚がなくなる程冷えてしまします。
歌い終わると、クリスマス市にある出店に行って、シナモンとオレンジの香りの立つ甘いホットワインを皆で飲む時のあの五臓六腑・・じゃなかった、心身に沁みる感動・・・今でも忘れられないです。
ミュンヘンのクリスマス市にまた行きたいな~。
今週は日本に帰国です。
今年は本当に蜜蜂のようによく行ったり来たりしました。1月から10回は日本とスペインを往復したかも・・。
スペインからの日本への直行便が無いので、飛行機は大体いつもルフトハンザ航空を使ってドイツのフランクフルト経由で帰ります。
コルドバから車を飛ばしてマドリッドまで4時間400キロ、マドリッドからフランクフルトまで2時間、フランクフルトで4時間近く待って、そこから関空まで11時間40分。そして関空から京都まで約2時間・・・遠いです。
でも、フランクフルト空港の中には知る人ぞ知る空港従業員が利用するスーパーマーケットがあって、ここが結構おススメです。
まずフランクフルトに到着すると、そのまま一旦到着ゲートを出てドイツに入国して、このスーパーマーケットに直行。
山のようにパンやナチュラルコスメやアロマグッズ、有機食品やお菓子を買ってそれを持参したスポーツバッグに詰めて、チェックインカウンターで追加荷物として預けてしまいます。
焼いたばかりのドイツパンのお土産は皆喜んでくれますよ!
いつのフライトだったか忘れたけど、フランクフルトを発って4時間くらい経過してロシアの上空を飛んでいる時にこんなアナウンスがありました。
「こちらは機長です。実はさっきからどうも機体の状態がおかしくてちょっとイヤな予感がするのでフランクフルトに引き返します・・・」
ドイツ語は通訳を学生の時にバイトでしていたので今でも良くわかるのですが、よく聞いてみると、
「機内のエアコンがどんどん効かなくなってきていて、このままいくと全員凍る可能性がでてきたので、どうなっちゃうかわかりませんけど、とにかく帰れる所まで引き返しますのでシートベルトしてネ」
とコワイ事を言うのです。これがCAによって英語に訳され、日本語に訳され、全員に伝わると満員の機内は静まり返りました。
私として、出来ればフランクフルトに戻るよりも大学時代の友達が一杯住んでいるミュンヘンとかに戻ってくれないかなーーなんて思いながら飛行機は急旋回してドイツに戻って行きました。
すると、またしても機長からのアナウンス。
「フランクフルトに帰りたかったのですが、フランクフルト市内に乗客の皆さま全員分のホテルの部屋が確保できないので、ミュンヘンに変更します」
と言うではありませんか。なんというラッキー。
それにしても今まで飛行機に乗って、着陸する時にこんなにたくさんの消防車と消防団の人たちにホースを向けられながら迎えられた事はありませんでした。
ルフトハンザ。客席は死ぬほど狭いし機内サービスも質実剛健で質素でシンプルだし、CAも厳格なおば様ばかりだけど、緊急事態のサービスと対応や保障に関しては凄い会社だと思います。
その晩のホテルは、私が支払った航空運賃の倍ほどする宿泊料金のケンピンスキーホテルの素敵なお部屋を用意してもらって、夕食も朝食も航空会社から出てきたうえに、大学時代の同級生とはいきなり会えてビアホールで二次会までできたし、もう最高でした。
なんだかルフトハンザの宣伝みたいになっちゃいましたけど・・・。
突然本棚を整理したくなってガタガタやっていると、ウサギが3匹飛んでいる表紙のノートが出てきました。
開けてみると、大学に入学した年の夏休みの日記。それも、日本で夏休みを過ごしてドイツのミュンヘンに戻る機内で泣きながら書いたものでした。
その中で、「お父さんが言ったこと」という部分があって、父が私に対して言ったらしい文句が箇条書きになっていました。
「悲しみは喜びがあって感じるものである」
「「魔の山」(作/トーマス・マン)を読むこと」
「一つ越えた川の岸にひたり続けてはいけない」
「損得で物を考えない、選ばない。素直にしたいものだけに飛びつきなさい」
・・・・・・・
ノートを持ったまま暫く立ち止まってしまいました。
魔の山・・・まだ読んでない・・。お父さん、ゴメンなさい~~。
昨日はとうとう一日風邪で倒れたまま終わりました。
調子が悪くなるのは嬉しくないけど、風邪をひくこと自体は何となく体の大掃除をしているみたいな感覚があるので、結構「お!来た来た」なんてちょっと楽しかったりもします。
なので風邪薬を飲んでしまうと、中途半端な掃除みたいになるので、とことん自然治癒力だけで治るまで頑張ってもらう事にしています。
体の大掃除のもう一つ強力版は何と言っても食中毒でしょうか。食中毒と言えば懐かしいのはキューバ。あの国で暮らしている時によくなりました。
キューバの場合は自然治癒力しか頼れるものがなかったので(あの当時、病院は山ほどあったのですが、シーツも枕もタオルも持参で、しかも薬が足りなくて・・)、3、4日七転八倒して5日位目に起き上がった時のあの爽快感と言ったら!
通常1週間かかるベートーベンのピアノ協奏曲の暗譜が1日で出来るくらい絶好調になります。それから肌もツルツルになるし、何故か直観力も研ぎ澄まされるし、もう言う事なしです。
しかも豊富なお野菜も果物も全て地の旬もの。アボカドもバナナもマンゴーも全てのフルーツはそのまま木からもぎ取ってきたものばかりだし、唯一の動物性タンパク質は自分の家で飼っているニワトリが産む卵・・・
そして国立マッサージセンターに行くと、筋肉マンみたいなベテランのオバサン達が2時間12ペソ(50円くらい)で指圧付のマッサージをしてくれるのです。
ああキューバに帰ってもう一度あの健康的な生活を送りたい・・・。
とうとう風邪をひいてしまいました。
体中ぼーーっとして何もできない・・・・。
映画、「2012」を見ました。
マヤ歴の予言通り、西暦2012年に地球がボッコボコになるという映画です。
ストーリーはともかく、とにかく片っ端から地面は割れる溶岩は噴き出す津波は押し寄せまくりでもうシッチャカメッチャカ。
私はいつも映画を見に行くと、なぜか内容よりも音楽の方を聴いてしまいます。
音楽が良いとそれだけで大満足になるけど、「ホラ、泣いて、泣けるでしょ~~!!」的な見ている人の感情を無理矢理コントロールしようとする「感動系」和音連発の音楽が始終オンパレードだと何だかガッカリしてしまいます。
それで行くとこの「2012」は良い!
何が良いかって言うと、もう最初から最後まで「ドカーン」とか「ゴゴゴゴ」とか「バリバリメリメリーーーー!!」とか、ひたすら破壊音ばっかりで映画が終わって初めて「そういえば音楽ってあったっけ?」となるのです。
ストレス発散に最高の2時間38分です。
ちなみに、昨日(日曜)夜のコルドバのアルカサル映画館、私を入れて入場者は6人だった・・・。
家の近所の市場で白菜を売っている野菜屋さんがあります。
首都マドリッドならどんなアジアのお野菜でも手に入るのですが、ここ地方都市コルドバでは何とか手に入るのが白菜と生姜くらい。
ある日、白菜を買いに行った時の事。
「たった今売り切れちゃった!」
野菜屋のおじちゃんにそう言われて振り向くと、白菜を6つも買い占めて帰るアジア人風の女性がいました。
それから何度か同じように彼女に白菜を買い占められてゲットできない事が数度ありました。私もだんだんヤケになって、慣れない早起きまでして白菜を手した日にはなんだか妙に白菜が輝いて見えるではありませんか。
そんなある日、家の近くのワインバーに飲みに行くと、あの白菜女性らしき姿が一人でワインを飲んでいたのです。そこで思わず声をかけてみると・・・彼女は陶芸家で、コルドバ人の生物学者と結婚している韓国人女性と言う事でした。
その日以来すっかり仲良しになってしまい、昨日も彼女の家に夕食に招待してもらいました。
彼女のキッチンではあの白菜達がすっかり美味しいキムチに熟成していて、今まで食べたことのない程、上品であっさりして絶妙に発酵しているのです。これがまたスペインワインと良く合うのではありませんか・・・。
今週は連日宴会の毎日で肝臓が潰れそうなんですけど。
来週はもう少し健康的に生きよう・・。
パーティ料理の献立と言うのはなかなか難しいと思いませんか。
私が今まで住んだ場所で、どんな料理でも先入観ナシに食べてくれた人種ナンバーワンは①ドイツ全土の全国民②アルゼンチンのブエノスアイレスの若者③コロンビア、メデジンの老若男女。
自分の知らない料理を怖がって食べない人種ナンバーワンはここ、コルドバの中年。
夕べは、コルドバ人の若者(それも音大生)を招いてドンチャンパーティをしました。
メニューはフムス(ひよこ豆のディップ)、レンズ豆のカレー煮込み、鱈子ディップ、マイ燻製器で作ったささみの燻製、チーズの燻製、梨のサラダ、ジャガイモのオーブン焼きに2種類のソース・・・
よく食べ、よく呑んでくれました!料理は大成功。一人当たりワイン2~3本ペロっとあけて(その前にビールも山盛り)、その勢いで近所のディスコに一緒に流れて、朝3時まで踊ったらさすがにオバサンの私は死にそうになりました。
本日二日酔いにて、おかゆを焚き中・・・。
朝、目が覚めたら・・・雨が降っているじゃないですか!!!!!
何カ月ぶりだろう・・・・。
雨って本当に不思議。音も、香りも、空気の密度も、そして人々の気持ちまでこんなに変えてしまう力を持っていると、この乾燥の地に暮らしていると思うようになりました。
雨をほとんどしらない愛犬ワサも外に出したら、何故か右手をピっと挙げたまま、空を見てとまってるし。
しかしコルドバ人よ。ただの小雨なのに、台風か集中豪雨用の防雨スタイルで朝っぱらからバルでお茶してくつろいでいるんですけど。
雨が降るだけで何でこんなにバルが賑わってるワケ!?
今日は仕事ナシ!?
よっしゃ。私も今日は仕事ナシ。
サッカーについては全然詳しくありませんが、「イニエスタ」というスペインを代表するFCバルセロナのサッカー選手がいます。先日、この人が故郷に寄贈したピアノを弾く機会がありました。
カスティリア・ラ・マンチャ州の小さな小さな村から第一回国際ピアノフェスティバルを開催するので最終日、ファイナルコンサートをしてくれないかと言う依頼がありました。
マネージャーのヘマちゃんと車でその村へ向かうと、そこはひたすら地平線まで荒野の広がるドがむっつくらいつきそうなド田舎。家が数件しかない集落がぽつんとあって、それがイニエスタの生まれた村でした。
村の真ん中には会場の文化センターがあって、以外にもその中に500席の劇場が入っているのです。どう考えても村の人口より席数の方が多い・・・。
ところが!演奏会が始まると、どう言うわけか地平線の彼方からも別村の人がやってくるのか、会場はほとんど満席。いつものように喋りまくりコンサートをしていると、いきなりあるお婆さんからこんな掛け声が。
「そのピアノはアタシの孫が寄付したものなのよーー!イニエスタよ~!!」
会場からは拍手が。私も一緒に拍手しながら、
「ところでイニエスタって誰?」
と聞いたら、それがその晩一番ウケてしまったのだった・・・。
それ以来、イニエスタのファンです。
今住んでいる向いの通りによく行くバルがあって、そこの2階は空家になったままです。でも、借りる人がいないのは、不景気が原因というよりは、そこにコルドバでは有名なおばあさんの幽霊が住んでいて、しょっちゅう窓で目撃されているからなのだそうです。
でも最近、大家さんが何も知らない外国人をうまく丸めこんで、とうとう貸すことに成功したそうです。
政府の不景気対策で、スペイン全土で道路工事が始まりました。で、その幽霊屋敷通りの道路工事も始まりました。石畳をはずしてみたら今度は1600年くらい前の西ゴート族のミイラがゴロゴロ出てきてとりあえず工事は中断。しばらくミイラごと野ざらしになって、役場の人が何枚か写真を撮りに来て、それで「調査」は完了。
私も毎日出かける度にそこを通っていましたが、何と言ってもミイラの皆さんの歯の頑丈さには感動しました。
そのまた向い側の雑貨店が不景気で店を閉めて、改装工事が始まって床をほじくってみたら今度はローマ時代の床が出てきて、そこも工事はとりあえず中断。
不景気のおかげで街中道路工事をすればするほどとミイラと遺跡が出てきてしまうのでした。
愛犬ワサが、嬉しそうに何かをくわえて散歩から帰ってきました。
小屋でガジガジしているその物体をよく見たらミイラの骨じゃねぇか~~!!!
今コルドバの野菜市場で一番美味しいのが、グリーンピース。さや付の生豆で売っていて、一キロ4ユーロ(500円ちょっと?)。豆女の私には、毎日食べても、毎度同じくらい幸せになれるほどホクホクに甘くて旨い絶品です。さあ、今日もこれから市場に行ってガッツリ仕入れてくるぞー。
とうとう夕べ、永年の夢だった方にお会いするという夢が叶ってしまいました。
坂本龍一教授。
只今ヨーロッパツアーで、スペインを通過中の教授がこんな遥かなるアンダルシア、ハエンという街まで演奏をしにやってきてくださいました。
ピアノと映像という二つの次元がまるで織物のように重なり、一曲ごとに異なった世界を生み出していくのです。2時間の演奏会が旅そのものでした。そしてそのあと、有難いことに楽屋に入れてもらえて、教授とお話をすることが出来ました。凄いオーラと、優しい声・・・タダごとではない物凄いエネルギーを感じました。
コンサートホールはもちろん満席で、中にはマドリッドのコンサートに行けなかったという事で、はるばる350キロも車を飛ばしてやって来るという人も多くいました。開演時間は9時、しかもスペインでは通常ありえない「時間厳守」。所がやっぱり、いるんです。遅れてくる人が・・・。でも、一度閉まった扉はとうとう演奏会終了まで開かずの扉となり、遅刻した総勢28人はとうとう入れないまま茫然と入り口で立っていたのだと、関係者にメチャクチャ詳しい私のマネージャ、ヘマちゃんが教えてくれました。全てのコンサートをこれくらい厳しくしたら、この国の国民性も変わるかも・・・。
教授、残りのイギリスでのツアー、頑張ってください!!!
夕べは、友達のフラメンコギタリスト、パコ・ペーニャの家で一杯(と言うか、5杯)呑んできました。コルドバ出身で40年前からロンドンに暮らしていて、フラメンコの普及に多大な貢献をしている巨匠ギタリストです。今はレコーディングで里帰りしているところです。
コルドバで貧しい家族の9人兄弟の下から2番目に生まれて、市場で野菜を売っていたお母さんを助けようとギターを演奏してお金を稼ぎ、そのままどんどん有名になった人です。
凄いのは彼らの住む家。私の家から歩いて5分くらいの街の中心地にあるのですが、築1700年くらいのローマ時代の屋敷で、それがその後様々な支配国とレコンキスタの影響を受けながら1000年以上かけて改築されてきた館。しかもこの周辺は、私的にはコルドバ一のスピリチュアルスポットで、霊が見えるお方だったら絶対行列で見えるに違いないと確信出来るくらい凄い所です。オレンジやレモンの実がたわわになるパティオ、イスラム時代のままの井戸とプール・・・でも、どんなにお化けが出現しても、ここなら住んでもOK!という感じです。
かっこいいのは、この人、パコ。静かで穏やかで、一切の衒いがなく、あくまでも普通なのです。ところが一度ギターを手にすると、そこから生まれる信じられないほど美しい響きに、その場の空気すらシンと静まりかえる程です。確実なテクニック。余分な音を一切弾かず、一音一音に魂が宿っている響き。シンプルだからこそ、その上に現れる計り知れないほど大きくて豊かな音楽に酔いしれてしまいます。
旨い酒と音楽に酔いしれて、それではまたね~と家を出ると、外は真っ暗、向かいはコルドバの心霊名所「7体の首吊りがあった館」・・・。全力疾走で家に戻ったのでした。
みなさん、今晩は。
大変長らくお待たせいたしました。「今日のひとこと」開始です!
とても多くの方から「全然ダイアリーじゃないし」と叱咤激励のメールをいただきながら、なかなかじっとしている事の出来ない性格&都合上、どんどん時が過ぎてしまいました。
これからよろしくお願いいたします。
アンダルシアは30年ぶりの暖秋です。今でも毎日よく晴れて、日中でも25度くらいの暖かさです。コルドバではオリーブの実の収穫が始まっているのですが、本当は秋の始まりと共にやって来る雨を収穫の直前に木が吸って、実が一気に膨らんだ所で収穫するのが一番美味しい実になるそうです。今年は天気が良すぎてオリーブ農家は泣いているそうです。
先日、知り合いにお願いしてオリーブの実の収穫を見に行ってきました。
待ち合わせは、知人のオリーブ畑の入り口に午前6時に集合(夜型の私には悲)。しかもスペインでは珍しく時間厳守という注意付。オリーブの木が何ヘクタールにもわたって何万本と生えているので、全員一緒に移動しないと本当に迷子になるのです。
果てしなくオリーブの木が広がるその向こう側に日の出の気配を感じながら、明けの明星がギラギラと輝く暗闇の中を長い棒を手にした男たちはペンペンと実をたたいて落として行き、女性がその実を拾っていくのです。
360度、どこを見渡しても広がるのはオリーブの木と空だけ。私から見ると、一体どこまで収穫したら終わるのかと気の遠くなる程だったけれど、季節労働者としてやってきている彼らのフラメンコの歌声を聞いていたら、こんなに素晴らしいコンサート会場はないよな・・なんて思ってしまいました。
この収穫者達が休憩をしに行くバルで出てくる朝ゴハンは最高です。30センチくらいあるバケットを半分に割って、そこにまずオリーブオイルをたっぷり塗り、おろしトマトをダダーっとかけて、みじん切りにした生ハムをザザザーとのせたもの、ジョッキ一杯のしぼりたてのオレンジジュース(オレンジ約7個分)、それにエスプレッソ!
私も朝5時からこれだけ食べたら凄いピアノが弾けるかも・・。